名簿は「だれに・何のために」を確かめる時代へ!個人情報保護法の改正
解説:Nori社長11歳・経営者1年生(架空のキャラクター)
ぼくが勉強したことを、むずかしい言葉を使わずに教えるね。約11分で読めるよ!
2026年(令和8年)7月に公布された個人情報保護法の改正のうち、名簿や営業リストを扱う会社に関係するところを、11歳で経営者1年生の「Nori社長」が、個人情報保護委員会の資料をもとに図と例え話でやさしく解説します。
この記事の要点
- 改正法は2026年7月17日に公布。施行日は「公布から2年以内に政令で定める日」で、まだ決まっていない(罰則の見直しなど一部は公布から6か月を経過した日に施行。計算上は2027年1月ごろ)
- オプトアウト制度で名簿を出す会社は、受け取る相手の身元と利用目的の確認が義務に。受け取る側は確認にうそをついてはいけない(施行日以後の違反は過料の対象)
- 重大な違反に課徴金を導入。名簿の不正提供の罰則も重くなり、不正な利益を図る目的などで、だまして個人情報を取得する行為にも罰則を新設
- 委託先は、任された業務に必要な範囲を超えて個人情報を扱ってはならないと明記される
目次(気になるところから読めます)
※この記事は、個人情報保護委員会が公表している資料をもとにした一般的な情報提供です。当社は法律事務所ではありません。個別のケースが規制にあたるかどうかの判断は、弁護士などの専門家にご相談ください。(情報の確認日:2026年10月20日)
30秒でわかる結論
- 個人情報保護法を改正する法律が、2026年(令和8年)7月17日に公布されました。施行日は「公布の日から2年を超えない範囲で政令で定める日」とされていて、確認日時点ではまだ決まっていません(罰則の見直しなど一部は、公布から6か月を経過した日に施行と定められています。計算上は2027年1月ごろ)。
- 本人の同意なしで名簿を外に出せる仕組み(オプトアウト制度)で名簿を渡すとき、渡す側の会社は、受け取る相手の身元と利用目的を確認することが義務になります。受け取る側は、その確認にうそをついてはいけないとされ、施行日以後の違反は過料の対象です。
- 個人情報を悪用しそうな相手に渡すなどの重大な違反には、課徴金(違反の対価として得たお金に相当する額を国に納める命令)が新しく導入されます。
- 名簿の不正な提供への罰則が重くなり、不正な利益を図る目的などで、だまして個人情報を手に入れる行為にも罰則が新設されます。営業代行などの委託先の義務も見直されます。
Nori社長の「連絡網事件」でわかる名簿のルール
(例え話です。実際の判断は個別の事情によります)
図でわかる:名簿の流れと、確認が必要になるところ
ルールの中身(個人情報保護委員会の資料のポイント)
いつから?
改正法(個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律)は、2026年(令和8年)7月10日に国会で成立し、7月17日に公布されました。施行日は、法律の附則で「公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日」とされていて、確認日時点では決まっていません。個人情報保護委員会が公表したロードマップでは、2028年(令和10年)の春〜7月ごろの欄に施行が置かれていますが、「現時点での大まかな見込みであり、今後の状況によって変わり得る」とされています。
一方、法律の附則では、公示送達のデジタル化のほか、罰則の規定(④で説明する名簿の不正提供罪の見直しや、不正取得罪の新設など)が「公布の日から起算して6月を経過した日」に施行されると定められています(計算上は2027年1月ごろ。委員会が日付を示した資料は、確認日時点で見当たりません)。個人情報保護委員会のロードマップの注記は、この一部施行として公示送達のデジタル化にだけ触れています。
何が変わるの?(名簿・営業リストに関係する部分)
① オプトアウト制度で名簿を出すときの確認
オプトアウト制度とは、本人から求められたら提供を止めることなどを条件に、個人情報保護委員会に届け出たうえで、本人の同意なしに個人データを第三者に提供できる仕組みです。委員会の資料では、この制度で提供された名簿が、いわゆる「闇名簿」の情報源の一つになっている現状が指摘されています。改正後は、この制度で名簿を出す会社が、あらかじめ受け取る相手の氏名・名称、住所、代表者の氏名と、利用目的を確認しなければなりません。確認を求められた受け取る側は、確認に係る事項を偽ってはならないとされ、施行日以後の違反は10万円以下の過料の対象です。確認の具体的な方法は委員会規則で定められ、2026年10月14日の委員会資料では、身元は本人確認書類の検証などで、利用目的は相手からの申告で確認する方向が「案」として示されています。
② 名前がなくても連絡できる情報の不適正な利用・不正な取得の禁止
今の法律でも、違法・不当な行為を助長・誘発するおそれがある方法で個人情報を利用することは禁止されています(不適正利用の禁止)。改正では、名前がなくても特定の人に連絡できる情報(住所や勤務先などの所在地、電話番号、メールアドレス、Cookie IDなど)を含む「連絡可能個人関連情報」についても、不適正な利用と、偽りその他不正の手段による取得が禁止されます。
③ 課徴金の導入
重大な違反で個人の権利利益が侵害された場合などに、違反行為の対価として得た金銭等に相当する額として、政令で定める方法で算定した額の課徴金を国に納めるよう命じる制度が新設されます。対象は、違法な行為などを行うことが想定される相手への提供や、本人の同意のない第三者提供の制限への違反、不正な手段で取得した個人情報の利用などです。違反行為に係る本人の数が1,000人を超えないときなどは、命じることができないとされています。また、違反を防ぐための相当の注意を怠っていなかったと認められる場合は対象外です。
④ 名簿の不正な提供などへの罰則強化
※この④の罰則の部分は、上の「いつから?」のとおり、ほかの項目より早く施行される見込みです(条文の読み方)。会社の役員や従業者などが、業務で扱った個人情報データベース等を不正な利益を図る目的で提供したり盗用したりする行為の罰則は、1年以下の拘禁刑・50万円以下の罰金から、2年以下の拘禁刑・100万円以下の罰金に引き上げられます。「損害を加える目的」での提供も対象に加わります。さらに、不正な利益を図る目的や、本人・個人情報を保有する者などに損害を加える目的で、人をだます行為や不正アクセスなどによって個人情報を取得する行為に、2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の罰則が新設されます。
⑤ 委託先の義務の見直し
委員会の資料では、委託先が任された業務の範囲を超えて独自に個人データを利用する事案が生じていると説明されています。改正後は、個人情報の取扱いを任された委託先(何段階かの再委託を含む)は、法令に基づく場合などを除き、任された業務に必要な範囲を超えて取り扱ってはならないと明記されます。一方で、委託契約で取扱いの方法をすべて合意し、委託元が状況を把握するための措置などに合意している場合は、委託先の一部の義務を原則として免除する仕組みも設けられます(委託先が、データ入力のように、委託元の指示どおりに機械的に取り扱うだけの場合などが想定されています。詳細は委員会規則で定める予定)。ただし、任された業務の範囲を超えて取り扱ってはならない義務と、安全管理の義務は、免除されないとされています。
誰に関係するの?
①は、オプトアウト制度で名簿を出す会社と、そこから名簿を受け取る会社に関係します。②〜④は、個人情報や連絡先の情報を扱う会社に広く関係します。⑤は、営業代行やコールセンター、システム会社など、個人情報の取扱いを外部に任せる会社と、任される会社の両方に関係します。
ひと目でわかる:気をつけたいこと・今からできる準備
✕ 気をつけたいこと
- 名簿やリストを、どこから・どんな経緯で手に入れたのか分からないまま使っている
- 名簿を買うときに、相手から身元や利用目的を聞かれても、正確に答える準備がない
- 「名前がないから個人情報ではない」と考えて、電話番号やメールアドレスのリストを扱っている
- 営業代行などに顧客リストを渡すとき、使ってよい範囲を契約で決めていない
- リストを渡した委託先が、そのリストをどう扱っているかを把握していない
○ 今からできる準備
- 社内にある名簿・リストを書き出し、入手先と入手の経緯を記録しておく
- 名簿を受け取るときの確認・記録(今の法律の第30条)ができているか見直す
- リストを何に使うのか(利用目的)を、社内で言葉にしておく
- 委託先との契約で、扱いの範囲・方法や、漏えいのときの報告などを決めておく
- 政令・規則・ガイドラインの公表を、個人情報保護委員会のページで確認する
※確認や記録の具体的な方法は、改正後の委員会規則やガイドラインで決まります。確認日時点では検討中の内容が含まれます。
経営者が今日からできること
- リストの棚卸しをする:営業で使っている名簿・リストが、どこから来たものかを一覧にする
- 受け取るときの確認・記録を見直す:今の法律でも、名簿を受け取る側には、相手の氏名・名称や名簿の入手の経緯を確認し、記録する義務があります。できているかを確かめる
- 利用目的を言えるようにしておく:改正後、オプトアウト制度で名簿を受け取るときには、身元と利用目的の確認を求められることになります。何に使うのかを説明できるようにしておく
- 委託先との取り決めを見直す:営業代行などにリストを渡す場合は、使ってよい範囲や方法、終了後の扱いを契約で確認する(営業代行と契約する前に確認したいことは「営業代行の「成果報酬」は本当に安心?」でも紹介しています)
- 公式の情報を追いかける:施行日や細かいルールはこれから決まるため、個人情報保護委員会の「令和8年 改正個人情報保護法について」のページを定期的に確認する
よくある質問
名簿業者から買ったリストで営業しています。改正で何が変わりますか?
名簿業者がオプトアウト制度にもとづいて名簿を提供する場合、改正後は、名簿業者があらかじめ受け取る側の身元(氏名・名称、住所、代表者の氏名)と利用目的を確認することになります。受け取る側は、その確認に対して偽ってはならないとされ、施行日以後の違反は過料の対象です。なお、名簿を受け取る側が、提供元の氏名・名称や入手の経緯を確認して記録する義務は、今の法律にもあります。確認の具体的な方法は、今後の委員会規則で定められます。個別のケースの判断は、弁護士などの専門家にご相談ください。
営業代行会社に自社の顧客リストを渡すと、どうなりますか?
今の法律でも、個人データの取扱いを外部に任せる会社には、委託先を監督する義務があります。改正後は、任された委託先が、任された業務に必要な範囲を超えて取り扱ってはならないことが法律に明記されます。委託契約で扱いの方法などをどう決めるかが、これまで以上に大事になると考えられます。具体的な内容は委員会規則等で定められる予定です。
課徴金は、中小企業にも関係がありますか?
条文には、会社の規模で対象を分ける規定は見当たりません。対象になるのは、違法な行為などを行うことが想定される相手への提供などの決められた違反行為で、違反によって金銭等を得た場合です。本人の数が1,000人を超えないときなどは命じることができず、違反を防ぐための相当の注意を怠っていなかったと認められる場合も対象外とされています。
名前がない、メールアドレスや電話番号だけのリストも関係しますか?
改正で、名前がなくても特定の人に連絡できる情報(所在地、電話番号、メールアドレス、Cookie IDなど)を含む情報は「連絡可能個人関連情報」とされ、違法・不当な行為を助長・誘発するおそれがある方法での利用と、偽りその他不正の手段による取得が禁止されます。どのような場合があたるかの詳細は、今後の政令・規則・ガイドラインで示される予定です。
まとめ
令和8年の個人情報保護法の改正は、名簿が悪用されることを防ぐためのルールを強めるものです。オプトアウト制度で名簿を出すときの相手の確認、連絡先の情報の不適正な利用の禁止、課徴金の導入、罰則の強化、委託先の義務の見直しなど、営業リストを扱う会社にも関係する内容が含まれています。施行日や細かいルールはこれから決まるため、まずは自社のリストの入手先と使い方を整理しておくと、後から慌てずにすみます。
当社は、問い合わせフォーム営業を活用したアポ獲得単価型の営業代行を行っています。なお、個別の取り組みが法令にあたるかどうかの判断は、当社では行いません。弁護士などの専門家にご相談ください。
出典(一次情報)
- 個人情報保護委員会「令和8年 改正個人情報保護法について」(公布日:令和8年7月17日/施行日:公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日)
https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/r8kaiseihogohou/ - 個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律(令和8年法律第56号)条文
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/260717_houritsu.pdf - 同 新旧対照表
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/260717_sinkyutaisyohyo.pdf - 個人情報保護委員会事務局「個人情報保護法等の一部を改正する法律について」(令和8年7月)
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/260717_kaiseihounitsuite.pdf - 個人情報保護委員会事務局「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律の成立を受けた個人情報保護委員会の今後の取組について」(令和8年7月31日、ロードマップを含む)
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/260731_kongonotorikumi.pdf - 個人情報保護委員会事務局「政令・規則の整備に向けた基本的な考え方について③(不適正利用等防止、規律遵守の実効性確保のための規律)」(令和8年10月14日)
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/261014_kihonntekinakanngaekatanitsuite_3.pdf - 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(第三者提供時の確認・記録義務編)」(今の法律の確認・記録義務)
https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_thirdparty/
情報の確認日:2026年10月20日。法令や運用は変わることがあります。最新の情報は個人情報保護委員会のページでご確認ください。この記事は一般的な情報提供であり、個別の判断は弁護士などの専門家にご相談ください。Nori社長は、この記事のために作った架空のキャラクターです。