COLUMN
営業代行の「成果報酬」は本当に安心?完全成果報酬をやめた当事者が話す、仕組み・注意点・選び方
「成果報酬で営業代行をしてくれる人を探しています」。当社に届く営業代行のご相談は、たいていこの一文から始まります。成果報酬は頼む側にとって安心に見える仕組みですが、選び方を間違えると、お互いにとって良くない結果になることもあります。仕組みと注意点を、完全成果報酬をやめた当事者の立場からまとめました。
「成果報酬でお願いできますか」というご相談が多い理由
当社には、SNSのメッセージなどを通じて営業代行のご相談をいただきます。Web制作、SNS運用代行、システム開発、飲食店向けのMEO対策、採用支援、リフォーム、海外のSaaSなど、業種はさまざまです。
そして、最初の一文はたいてい次のようなものです。
- 「成果報酬で営業代行してくれる人を探しています。可能ですか」
- 「完全成果報酬型の営業支援会社様を探していまして、一度お話をお聞かせいただけますか」
- 「弊社プロダクトの営業を成果報酬型でお願いしたいのですが可能でしょうか」
成果が出なければ費用がかからない。頼む側から見れば、これほど安心な仕組みはないように見えます。実際、私も以前は完全成果報酬でお受けしていました。ただ、いまは別の形に切り替えています。その理由を含めて、成果報酬型の営業代行について知っておきたいことを順にお話しします。
営業代行の「成果報酬型」とは
成果報酬型とは、あらかじめ決めた「成果」が出たときにだけ費用を払う料金体系です。成果が出なかった月は、原則として費用がかかりません。何を成果とするかによって、大きく2つに分かれます。
アポ獲得型(アポ1件ごとに費用が発生)
商談の約束(アポイント)が1件取れるごとに費用が発生する形です。代行会社の仕事は「見込みのある相手との商談の場をつくること」までで、商談での提案や契約(クロージング)は、頼んだ会社が自分で行います。
受注・売上連動型(契約や売上が立ったら費用が発生)
契約が決まったときや、売上が立ったときに費用が発生する形です。「売上の◯%」「契約1件につき◯円」のように決めることが多く、代行会社が商談やクロージングまで関わるケースも多くなります。一般に「完全成果報酬」と呼ばれるのは、初期費用や月額費用がなく、売上や契約が立ったときだけ報酬を払う形を指すことが多いようです。
このほか、資料請求や問い合わせなどの「見込み客の情報(リード)」1件ごとに費用が発生する形もあります。どこを「成果」と呼ぶかは代行会社によって違うので、言葉だけで判断せず、中身を確認することが大切です。
固定報酬型(月額型)との違い
営業代行の料金体系には、成果報酬型のほかに、毎月決まった費用を払う固定報酬型(月額型)と、少額の月額費用と成果報酬を組み合わせる併用型があります。
固定報酬型の特徴
営業担当者の稼働や、電話・メールなどの活動量に対して費用を払う形です。毎月の費用の見通しが立てやすく、成果が出やすいかどうか分からない新しい商材でも引き受けてもらいやすいのが良いところです。一方で、成果が出なくても費用はかかるので、どんな活動をして、どんな反応があったのかを報告してもらえるかが重要になります。
成果報酬型の特徴
成果が出なければ費用がかからないので、頼む側の金額面のリスクは小さくなります。その代わり、代行会社は成果が出るかどうか分からない段階の人件費や手間を先に負担することになるので、1件あたりの単価は固定報酬型より高くなりやすく、成果が出やすい商材を選んで引き受ける傾向があります。
どちらが良い・悪いではない
料金体系は、どちらが得かではなく、「何にお金を払うのか」の違いです。活動そのものに払うのが固定報酬型、結果に払うのが成果報酬型。自社の商材がどのくらい売れやすいのか、商談から先を自社でどこまでできるのかによって、合う形は変わります。
成果報酬型のメリット
- 成果が出なければ費用がかからない:初めて営業を外に頼む会社や、予算に余裕がない時期でも始めやすい形です。
- 費用対効果を計算しやすい:「アポ1件にいくら」「契約1件にいくら」と単価が決まっているので、自社の売上と比べて割に合うかを判断しやすくなります。
- 代行会社の本気度が見えやすい:成果が出ないと報酬にならないので、代行会社は引き受ける前に「この商材なら成果が出せるか」を真剣に考えます。引き受けてもらえるかどうか自体が、一つの判断材料になります。
成果報酬型のデメリットと注意点
1. 「成果」の定義がずれると、不満が残る
いちばん多いトラブルは、「思っていた成果と違う」というものです。アポ獲得型なら、誰と会えたらアポなのか(決裁者か、担当者か)、オンラインでもよいのか、日程が決まった時点か商談が実施された時点か。受注型なら、どの売上が代行会社の成果なのか、契約後に解約された場合はどうするのか。ここがあいまいなまま始めると、あとで食い違いが起きます。
2. 引き受けてもらえない商材がある
成果報酬型では、代行会社が先にリスクを負います。そのため、単価が低い商品や、まだ形が固まっていないサービス、売れた実績のないサービスは、引き受けてもらいにくくなります。引き受けてもらえたとしても、単価が高めになることがあります。
3. 受注型では、クロージング力の差が結果を左右する
契約や売上を成果にする場合、代行会社がどれだけ良い相手を連れてきても、商談での提案やクロージングがうまくいかなければ成果になりません。代行会社の努力だけでは結果が決まらないので、お互いの不満につながりやすい形でもあります。
4. 「数」に走るリスク
アポの件数だけを成果にすると、代行会社によっては、とにかく件数を増やすことを優先して「話を聞くだけ」の相手を連れてくることがあります。件数だけでなく、どんな相手と会えたかも確かめられる条件にしておくことが大切です。
私が完全成果報酬をやめた理由
ここからは、私自身の経験です。
アポは取れても、お互いが報われない
以前、知り合いの経営者が主催する交流会で出会った方の新規開拓を、売上に対する成果報酬でお引き受けしたことがあります。2か月ほどで10件ほどのアポを取ることができ、とても感謝していただきました。ただ、その方はちょうどプロダクトの形を模索している段階で、なかなか契約にはつながりませんでした。
このままではお互いにとって良くないと思い、アポ1件ごとに報酬をいただく形への切り替えをご提案しました。すると、とても歓迎していただき、「逆に今まで申し訳なかった」とまで言っていただきました。「こんなにアポを取ってもらえるとは思っていなかった。周りに必要な人がいたら、すぐに紹介したい」とも。
役割を分けた方が、お互いに仕事がしやすい
こうした経験から、いまはアポを1件獲得するごとに報酬をいただく「アポ獲得単価型」でお受けしています。お客様のクロージング力や提案力によっては、完全成果報酬だとどうしてもウィンウィンにならないことがあります。私は質の高いアポを届けることに集中し、お客様は提案とクロージングに集中する。役割をはっきり分けた方が健全だ、というのが私の結論です。
成果報酬で頼むなら、意識してほしいこと
もう一つ、正直にお伝えしたいことがあります。完全成果報酬で依頼してくる方の中には、アポが来てから「単価が合わない」「この相手は微妙だ」と提案に力が入らず、お客様を選びすぎてしまう方もいます。
成果報酬で動く側は、報酬が出るかどうか分からない段階で、先に時間と手間をかけています。だから私は、来たアポには全力で提案し、成果が出たら報酬を払う、という覚悟がないなら、成果報酬で依頼してはいけないと思っています。成果報酬は「頼む側だけが安全な仕組み」ではなく、お互いの信頼で成り立つ仕組みです。
成果報酬型の営業代行を選ぶときに確かめたいこと
1. 自社の商品で、1件あたりいくらまでかけられるか
まず、自社の側で計算しておきたいのが「1件のアポ(または1件の契約)に、いくらまでかけられるか」です。サービスの単価、1社のお客様から長く得られる売上(LTV)、原価率や粗利率から逆算します。当社でも提案の前に、売上のうち広告費として10%か20%か、営業経費として30%まで許容できるかなどを、こちらで決めつけずにすり合わせています。
2. 商談から先を、自社でどこまでできるか
提案やクロージングに自信があるなら、アポ獲得型で良い相手と会う機会を増やすのが合っています。商談そのものに人手が足りない、提案の型ができていないという場合は、アポの前に、営業の流れや伝え方そのものを見直した方が早いこともあります。
3. 「質の高いアポ」をどう定義しているか
私が考える質の高いアポとは、相手が「ちょうど◯◯の業者を探していた」「検討していたところだった」と言ってくれて、そのうえで相手から日程調整のカレンダーに予定を登録してもらえるものです。代行会社に「どんなアポを1件と数えますか」と聞いてみると、その会社の考え方がよく分かります。
4. 合わないときに「合わない」と言ってくれるか
どんな商材でも「できます」と引き受ける相手より、合わないときに正直に言ってくれる相手の方が信頼できます。当社では、サービスやターゲットが当社の手法に合わない場合は、こちらからお断りしています。紹介やSNS、電話など別の手法が合いそうであれば、パートナー企業のご紹介や別のご提案に切り替えています。
5. 契約書に書いておきたい条件
- 成果の定義:誰と、どんな形で、どの時点で成果とするか。
- 成果に数えない条件:日程の直前キャンセル、対象外の相手、同じ会社との重複などの扱い。
- 初期費用・最低契約期間の有無:「成果報酬」とうたっていても、初期費用や月額費用がかかる場合があります。
- 報酬の支払時期:受注型の場合、入金後か、契約時点か。解約や返金があった場合はどうするか。
- 報告の中身:何社にアプローチして、どんな反応があったか。
よくある質問
完全成果報酬なら、損をすることはありませんか?
成果が出なければ費用はかからないので、金額の面での損は小さくなります。ただし、「成果」の定義が自社の考えとずれていると、払った費用に見合わないと感じることがあります。また、来たアポを自社がきちんと商談につなげられるかどうかで、結果は大きく変わります。
成果報酬型と固定報酬型、どちらを選べばいいですか?
商材がある程度売れた実績があり、1件あたりの費用の上限が計算できるなら、成果報酬型は比べやすい選択肢です。まだ商材の形が固まっていない、まずは市場の反応を見たいという段階なら、活動の中身を報告してもらえる固定報酬型や併用型の方が、学びを得やすいこともあります。
成果報酬型の営業代行に断られるのは、どんなときですか?
一般的には、商品の単価が低く報酬が見合わないとき、売れた実績がなく成果の見通しが立たないとき、ターゲットや手法がその会社のやり方と合わないときなどです。断られたときは、理由を聞いてみると、自社の商品や伝え方を見直すヒントになります。
アポ獲得型では、商談のあとはどうなりますか?
商談での提案・見積もり・契約は、頼んだ会社が自分で行います。代行会社によっては、商談の結果を共有することで、次にアプローチする相手や伝え方を一緒に見直していくこともあります。
当社の営業代行について
当社は、問い合わせフォーム営業を活用し、アポを1件獲得するごとに報酬をいただく「アポ獲得単価型」の営業代行をしています。相手がサービスの概要を見て興味を持ち、自分から日程を登録したものだけがアポになるので、「話を聞くだけ」の商談になりにくいのが特徴です。
お引き受けする前に、サービスの単価やLTVを伺い、1件あたりの費用がお客様にとって見合うかを一緒に計算します。合わないと判断した場合は、正直にお伝えしています。「成果報酬で頼めるところを探している」という段階の方も、まずはお気軽にご相談ください。
営業代行を頼む前に確かめたいことは、「営業代行はやめとけ」と言われる本当の理由でもまとめています。